権現山巨樹群

旧錦町で最古の神社と伝えられている白山神社の社叢で、権現山と呼ばれる広瀬盆地を一望できる場所で群生する。

胸高周囲5m、樹高31mのイチイガシをはじめ、クロガネモチ、ツクバネガシ、アカガシなどの巨樹がある。

寂地の満州菩提樹群生地

満州菩提樹は朝鮮半島や中国東北部で生育するシナノキ科の植物で、高さ14m、径70㎝にも達する落葉高木である。

この群生地は今のところ日本列島において唯一の自生地といわれている。朝鮮半島・旧満州から飛んでこの地に遠隔分布をすることは日本列島が大陸と陸続きであった寒冷期時代の遺存と考えられ、植物分布上注目すべきものである。

錦川下流域における錦帯橋と岩国城下町の文化的景観

本文化的景観は、江戸時代の岩国城下町に由来するもので、錦川、城山、横山地区、岩国山、岩国地区から構成される。

岩国城下町は、藩主居館や諸役所、重臣の屋敷等が置かれる横山地区と、中下級の家臣屋敷や町人町等が置かれる岩国地区からなり、両地区を錦川が大きく隔てる。
これらの城下町には、護岸や水路、河川氾濫や内水氾濫に対する建造物の備え等が残されており、川と密接に関わった人々の工夫に富んだ暮らしを窺い知ることができる。

横山地区と岩国地区を繋ぐ錦帯橋(国指定名勝)は、その代表的なもので、延宝元年(1673)に当時の建築土木技術の粋を集めて架橋されたもので、その独特の構造美から、江戸時代中頃から名所として知られ、物見の賑わいにより経済的・文化的発展をもたらした。それにより、城下町の趣を伝える町並みに、木造三階建の旅館、時代の特徴を示す店舗、桜並木等の新たな景観が調和的に生み出され、現在まで良好に引き継がれている。

自然の特性を踏まえた開発が都市の個性を生み、往来の賑わいを生み、産業を育むという連関を示す独特な事例として貴重である。