生見中村ねんぶつ行事

市85生見中村ねんぶつ行事
種別(指定区分)
無形民俗文化財(市指定文化財)
指定年月日
平成7年(1995)3月3日
所有者等
中村区
所在地
岩国市美和町生見中村

この行事は毎年旧暦7月1日に生見中村観音堂で行われる行事で、地区の住民からは「ねんぶつ」と呼ばれる行事である。
概要を簡単に説明すると、まず観音堂に納められている大般若経全600帖(県指定文化財)を地区住民によって転読し、その後大きな数珠を車座で繰っていく行事である。

ただ、この行事に関する過去の記録は知られておらず、往古の状況はもとより、往古の状況がどこまで現在に伝わっているかも確認できない。

行事の流れは、午後4時頃、地元中村地区の人たちが観音堂に集まりはじめ参加者が集まったころを見計らって、世話役がお堂の仏壇下に納められている計3合の唐櫃を1合(20帙入り)ずつ取り出すと、10名余の参加者は早速転読に取りかかる。この際題目などは読まれない。誰がどの帖をめくるかも決まっていない。

唐櫃一合分が終わると、次も同じように行われる。

600帖すべての転読が終了すると、次は大きな数珠が取り出され、10名余の参加者全員が車座になって数珠をもち、ねんぶつを唱えながら繰り始める。ある程度回すと、今度は逆方向に繰る。数珠の珠数は201個でそのうち1個が大きい。この大きい珠が自分の所に来たら、数珠を頭上に持ち上げる。

なお、お堂を飾る特別な幕などはなく、僧侶による読経や釈迦十六善神像の画を掲げることもない。

中村地区の住民は、この「転読」と「数珠繰り」の両者をひっくるめて「ねんぶつ」と呼んでおり、これに参加すると夏病みを防げると言い伝えられている。