金銅如来形坐像

県9金銅如来形坐像
種別(指定区分)
彫刻(県指定有形文化財)
員数
一躯
指定年月日
平成10年(1998)12月4日
所有者等
宗教法人 洞泉寺
所在地
岩国市横山一丁目10-31

この金銅如来形坐像は、その伝来について不明なところもあるが、日本に伝存する高麗時代の仏像として優れた作柄を示す作品である。

この像は、右手を胸前にあげ、左手を左膝上に差し伸べ、ともに第1指と第3指を捻じ、右脚を上に結跏趺坐(けっかふざ)する。肉髻部と地髪部を明確に区別せずにゆるやかに盛り上げた頭部には小粒の螺髪を整然とつくり、角張った大きめの顔面部には、すこしたるみのある髪際線、紐状の大きな耳、上下瞼がふくらんだ切れ目のある眼、太く鋭角的な鼻、厚い口唇などを大きく表現し、頸部に三道をもりあげてあらわす。鐘状を呈する太づくりの体部には通肩に法衣を着け、U字状に広く開いた胸部に裙を締めた紐の結び目をのぞかせ、新羅時代後期以来の伝統的な仏像表現を踏襲している。

地着部周縁に5個の孔があり、像底に底板を張った可能性が強く、かつて像内納入品を納めていたと推測できる。

大きな頭部をやや前方に傾けた形姿や台形状の膝部の表現などから本像の制作は、高麗時代後期(14世紀初期)ごろと考えられる。

優れた鋳造法や明快な表現などは、日本に伝来する30余点の高麗仏の中で佳品の1つとして挙げられ、貴重である。