太平記 吉川元春筆四十冊 付 太平記目録

国12太平記吉川元春筆
種別(指定区分)
書跡(国指定重要文化財)
員数
四十一冊
指定年月日
昭和34年(1959)12月18日
所有者等
公益財団法人 吉川報效会
所在地
岩国市横山二丁目7-3

太平記は南北朝時代の争乱のいきさつを記した軍記物語である。文章は漢文調を交えて豪壮絢爛、文学作品として法師などにより講釈もせられたが、史書としても相当の価値を有し、また兵書として戦国時代の武人の間でひろく愛読されたものである。

本書は世にいう吉川太平記と呼ばれるものである。太平記が現在流布されている形に至るまでに若干の異本の存在が認められ、そのうち最も原作に近いと認められていたのは神田太平記であったが、神田本には14巻の欠失があった。本書は神田本に近い内容を有し、しかもほぼ全巻を完備していることから吉川太平記として文学史上に注目されるに至った。

この吉川本太平記は吉川元春が自ら書写したもので、奥書によれば永禄6年(1563)12月に筆を下し、同8年8月に完了した。この永禄7、8年は、出雲において尼子義久の軍を包囲攻撃の最中で、かかる軍陣の間に太平記を書写した元春の好学を看取出来る。

吉川元春は、享禄3年(1530)、毛利元就の第2子として生まれ、従兄吉川興経の養嗣子となった。豪邁でしかもよく文事を解し、文武兼備の名将として知られている。